優雅な姿と鋭い嗅覚を併せ持つイングリッシュポインターは、世界中のハンターから高く評価されてきた狩猟犬です。イギリスで生まれたこの犬種は、単に獲物を探すだけでなく、「自然と人が協力して狩る」という文化そのものを体現してきました。本記事では、イングリッシュポインターの歴史、狩猟犬としての能力、家庭犬としての魅力を詳しく解説します。

English-pointer breeding - puppies to be born

熊本の協力犬舎で米系イングリッシュポインターが産まれています。 両親とも実猟犬ですが、15kgくらいで小柄なのでペットとしても飼育しやすいサイズです。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。見学も大歓迎です。
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イングリッシュポインターの子犬たち

イングリッシュポインターの子犬たち

イングリッシュポインターの子犬オレンジ2025/9/1産まれ

ポインターの子犬(オレンジ)

イングリッシュポインターの子犬03レバー2025/9/1産まれ

ポインターの子犬(レバー)

イングリッシュポインターとは?狩猟犬としての歴史と起源

イングリッシュポインターは、18世紀のイギリスで誕生した鳥猟犬の一種です。その名の通り「ポイント(指し示す)」動作──すなわち、獲物を見つけた瞬間に体を静止させ、鼻先で方向を示す行動──から「ポインター」と呼ばれます。
起源をたどると、スペインやフランスのポインター、グレイハウンド、フォックスハウンドなどとの交配によって誕生したといわれています。これにより、スピード・嗅覚・スタミナという三拍子が揃った万能な狩猟犬が完成しました。

当時のイギリスでは貴族の狩猟文化が盛んで、イングリッシュポインターは上流階級のステータスシンボルでもありました。馬と並走しながら広大なフィールドで鳥を探し出し、ハンターが銃を構える前に「ここに獲物がいる」と静かに示す姿は、まさに芸術的とも言えるほどの調和を見せました。

狩猟犬「イングリッシュポインター」の能力

1. 卓越した嗅覚と“ポイント”能力

イングリッシュポインター最大の特徴は、卓越した嗅覚です。風の向きや湿度を読み取り、数十メートル先の野鳥の匂いを正確に嗅ぎ分けます。そして獲物の存在を感知すると、「ポイント」と呼ばれる動作──すなわち静止して鼻先で方向を示す姿勢を取ります。このポーズが、ハンターに「ここに獲物がいる」という明確なサインを送ることになります。この動作がポインターという名前の由来になっています。

この一瞬の静止は、単なる反射ではなく、高度な集中力と訓練による判断の結果です。数百年にわたり受け継がれてきた“狩猟犬としての本能”が、今もなおイングリッシュポインターの中に息づいています。

2. 圧倒的なスタミナとスピード

イングリッシュポインターは、長時間のフィールドワークに耐える圧倒的な持久力を誇ります。1日中草原を駆け回ってもバテない体力は、まさに狩猟犬として理想です。加えて、走るスピードも非常に速く、広大な土地をカバーできます。そのスピード感はハンターと馬が並走する伝統的なハンティングでも、その機敏な動きが高く評価されてきました。

長距離を走っても呼吸が乱れにくく、回復力も抜群です。このスタミナこそが、イングリッシュポインターを世界トップクラスの狩猟犬にしている理由の一つです。

3. 人との協調性と知性

イングリッシュポインターは、人と協力して狩ることを前提に進化してきました。飼い主の声や手の合図を敏感に感じ取り、指示を瞬時に理解します。

指示待つのではなく、先を読んで動く知性が高いのが特徴です。これは単なる服従ではなく、“共に狩る”という意識が根付いている証拠です。訓練を通して強い信頼関係を築くことができ、人に対して非常に誠実です。命令よりも“チームワーク”を大切にする姿勢は、現代でも多くの愛犬家を魅了しています。

狩猟犬としてだけじゃない!家庭犬としてのイングリッシュポインターの魅力

「狩猟犬」と聞くと、活発で扱いが難しいイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、イングリッシュポインターは驚くほど穏やかで、人懐っこい性格をしているので、家庭で子どもや他の犬とも仲良くできる、家庭犬としての魅力もあります。

その一方で、狩猟犬らしい高い運動欲求を持つため、毎日の散歩や広い場所での運動は欠かせません。十分な運動とコミュニケーションがあれば、家庭犬としても非常にバランスの取れた性格を保つでしょう。

また、イングリッシュポインターは知的で学習能力が高いため、基本的なしつけやトレーニングもスムーズです。優しく接することで信頼関係を築き、忠実で愛情深いパートナーとなってくれるでしょう。

イングリッシュポインターの身体的特徴

1. しなやかでバランスの取れた体型

イングリッシュポインターは中型から大型の犬種に分類されます。

オスの体高は約63〜69cm、メスは約61〜66cm。体重はおよそ25〜34kgほどで、筋肉質ながら無駄のないシルエットをしています。背中はまっすぐに伸び、胸は深く、脚は長くて引き締まっています。この構造が長時間の走行に適しており、どの角度から見ても均整が取れた体つきをしています。

2. 短く艶のある被毛と多彩な毛色

イングリッシュポインターの被毛は短く、滑らかで密度があります。汚れが付きにくく、水や泥をはじく性質があるため、屋外での活動にも最適です。

毛色はバリエーションが豊富で、代表的なものに次のような組み合わせがあります。

  • レモン&ホワイト
  • ブラック&ホワイト
  • リバー(チョコレート)&ホワイト
  • オレンジ&ホワイト

特に白を基調にした毛色は、フィールドでの視認性が高く、ハンターが遠くからでも犬の位置を把握しやすいという利点があります。

3. 鋭敏な目と表情豊かな顔立ち

イングリッシュポインターの目はアーモンド形で、知的かつ穏やかな印象を与えます。視線は常に周囲を観察しており、わずかな動きも見逃しません。獲物を見つけた瞬間の真剣な表情と、家庭でリラックスしているときの柔らかい目つきのギャップも魅力の一つです。

鼻は幅広く、嗅覚を最大限に発揮できる形状をしています。この鼻の構造が、微細な匂いを正確に識別する能力を支えています。

4. 美しい走行フォームと姿勢

イングリッシュポインターの走る姿は、まさに“美の象徴”と評されます。背筋をまっすぐに伸ばし、脚を大きく伸ばして地面を蹴るフォームは、スピードとしなやかさを兼ね備えています。

走行中でも頭を高く保ち、常に周囲を警戒しながらも優雅に走るその姿は、狩猟犬としてだけでなく観賞犬としても高い人気を誇ります。フィールドで獲物の匂いを感じ取った瞬間にピタリと止まり、“ポイント”の姿勢を取る――この静と動の切り替えの美しさこそ、イングリッシュポインターならではの魅力です。

イングリッシュポインターと他の狩猟犬の違いを徹底比較

同じく狩猟犬として知られる犬種には、セター系(イングリッシュセター、ゴードンセターなど)やスパニエル、レトリーバーがあります。それぞれ役割や性格が異なりますが、イングリッシュポインターは「探す」ことに特化しているのが特徴です。

セターが「鳥を見つけて伏せる(セット)」行動を取るのに対し、ポインターは「静止して方向を指し示す(ポイント)」という動作で獲物の位置を明確にします。この動作は非常に正確で、ハンターがすぐに射撃体勢に入れるようサポートします。

また、ポインターはより開けたフィールドでの作業に適しており、スピードと直線的な走行力が求められる環境に強い傾向があります。一方、セターやスパニエルは森や茂みの中での探索に向いています。
つまり、イングリッシュポインターは「広大な自然の中で遠くの獲物を的確に捉えるスペシャリスト」と言えるでしょう。

イングリッシュポインターの未来

近年、ヨーロッパや日本では実際の狩猟機会が減少しています。しかし、イングリッシュポインターの価値は「狩猟犬」という枠を超え、スポーツドッグや家庭犬、さらにはセラピー犬として活躍する個体も見られます。

彼らの持つ「人と協働する能力」「穏やかな気質」「自然との調和」は、これからの時代にも求められる要素です。自然と人の関係が再び見直される今、イングリッシュポインターは“自然と共に生きる象徴”として、新たな存在価値を発揮していくことでしょう。

まとめ

イングリッシュポインターは、狩猟犬としての高い性能と、美しさ・知性・温厚さを兼ね備えた稀有な犬種です。その歴史は長く、伝統的なハンティング文化を支えてきましたが、今では家庭でも人々を癒す存在として愛されています。フィールドでも家庭でも輝く――それが「イングリッシュポインター」という犬種の本質なのです。