イングリッシュセッターの本来の役割である鳥猟犬について話したいと思います。実際にイングリシュッセッターを飼う前に迷ったことは、そもそも鳥猟犬ってどんな犬なのか? 鳥猟犬にはどんな犬種がいるのか? 調べていくうちに、鳥猟犬を飼うことになった場合イングリッシュポインターとイングリッシュセッターはどっちが良いのか?どんな違いがあるか? が気になりました。鳥猟犬を飼うこと検討されている方やイングリシュッセッターに興味を持っておられる方は、自分と同じような疑問を持っておられる方も多いと思いましたので、この記事が参考になればと考えています。
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世界畜犬連盟における鳥猟犬の分類
世界畜犬連盟(FCI)、そこに加盟する日本ケンネルクラブ(JKC)は犬を役割ごとに10のグループに分類しています。
- 第1グループ:牧羊犬、牧畜犬
- 第2グループ:使役犬(作業犬、番犬)
- 第3グループ:テリア(小型獣猟犬)
- 第4グループ:ダックスフント(穴熊猟犬)
- 第5グループ:原始犬、スピッツ(日本犬等)
- 第6グループ:聴覚ハウンド
- 第7グループ:鳥猟犬(ポインティングドッグ)
- 第8グループ:鳥猟犬(ポインティングドッグ以外)
- 第9グループ:愛玩犬
- 第10グループ:視覚ハウンド
鳥猟犬は第7グループと第8グループになります。第7グループはポインティングドッグ、第8グループはそれ以外のレトリーバー、フラッシングドッグ、ウォータードッグ達になります。
ペットとしても人気の第8グループの鳥猟犬
まず第8グループには、ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバー、コッカースパニエル、大谷翔平選手の愛犬として有名になったコーイケルホンディエなど、ペットとして人気のある犬種が多くいます。皆さんの近くにでもよく見かける犬種たちではないでしょうか?
イングリッシュセッターを含む第7グループの鳥猟犬
今回、注目して頂きたいのは第7グループの鳥猟犬で、ポインティングドッグ達です。この第7グループにイングリッシュセッターが含まれていますが、その他の犬種は以下のようになってます。
- イングリッシュセッター
- アイリッシュセッター
- イングリッシュポインター
- ジャーマンポインター
- ビスラ
- ブリタニースパニエル
- ワイマラナー
名前は聞いたことあるけど、目にする機会は少ない犬種が多いと思います。それでも魅力的な個性を持った犬種ばかりです。
鳥猟犬としてのポインティングドッグ|代表的な3種を紹介
ポインティングドッグとは、隠れている獲物(雉や山鳥、小綬鶏など)を見つけると、低い姿勢で鼻先を突き出し、片足をあげる姿勢(ポイント)や、その場で伏せの姿勢(セット)する事で獲物の存在を知らせ、飼い主の合図で獲物の鳥を飛び出させ、鉄砲や鷹を使って獲る手助けをする犬達のことです。その中でも、日本で今でも活躍しているポインティングドッグ3種の特徴を見てみましょう。
優美な姿と鋭い嗅覚をあわせ持つイングリッシュポインター

ポインティングドッグを代表する犬種としてはもちろん、沢山の犬種を産み出してきた英国産の中でも傑作犬種の一種と言われるほど完成されています。スレンダーで無駄が無く、バランスのとれた優美な体型と優れた運動能力を持ち、鳥猟犬の中でもトップクラスの嗅覚で力強く活動します。
18世紀初めに基礎となる犬が英国に入り、そこでハウンドと交配することにより嗅覚力や走力を向上し完成させた犬種です。日本でも雉猟で活躍する姿は今でも見られます。
身近にいるイングリッシュポインターを見ていて思うのは、素晴らしいスピードです。そのスピードで広範囲を探索しつつ鳥の匂いを見つけると距離を測りポイントの体勢に入るのは見事です。そして短毛なため、手入れがしやすく、高温多湿な日本の環境に適している犬種だと思います。逆に、短毛なので藪に入る際に怪我しやすく、寒冷地での猟の際は寒そうでなので、猟場にあった使い方が良いかもしれません。
オールマイティで柔軟性のあるイングリッシュセッター

ポインティングドッグの中でもイングリッシュポインターと双璧をなすのがイングリッシュセッターです。ポインターと同様に優れた運動能力とスタミナ、鋭い嗅覚という鳥猟犬に必要な能力全ても持っています。
イングリッシュセッターは16世紀にスペインからイギリスへ渡ったスパニエル系が起源とされます。16世紀後半にイギリスのノーサンバーランド公爵がスパニエル系の犬を訓練し、獲物の鳥を見つけたら体を伏せて待つ(セッティング)ようにしたのが始まりと言われています。
17世紀以降セッティングスパニエルとして繁殖される様になり、スパニッシュ・ポインターやウォーター・スパニエル、スプリンガー・スパニエルなどが交配させながら猟犬としての能力を向上させていきました。
19世紀初頭にエドーワード・ラヴェラックが2匹のセッターから、現在の美しい容姿のセッターを作出し、さらにパーセル・ルーウェリンが、ラヴェラック系の中でも狩猟能力に優れた個体を繁殖させる事により、イングリッシュセッターの犬種的完成度が高められて行きました。
ちなみに現在では、伏せる「セット」ではなくポインターと同じ「ポイント」の姿勢でポインティングするイングリッシュセッターがほとんどです。
鳥猟犬としてのイングリッシュセッターは、直線的な動きのポインターよりも滑らかな動きで獲物を探します。毛量と長さも有るため、冬でも寒さを気にすることな走らせることができますし、藪に入っても擦り傷も少なく安心して見ていられます。その代わりに、ひっつき虫などが付きやすく、こまめな手入れが欠かせません。
詳しくは「イングリッシュセッターが選ばれる理由」をご覧ください。
多目的に対応できるブリタニースパニエル

ポインティングドッグの中では小型で、ペットとしても人気の犬種です。
フランスのブリュターニュ地方でフラッシングやレトリービングとして使われていたスパニエル犬種に、イングリッシュポインターやイングリッシュセッターを交配させて、多目的に使えるように改良して誕生した犬種です。そのため、ポインティング、フラッシング、レトリービング全てを高度に行う事ができる、いわばいいとこ取りの犬ですね。
ブリタニースパニエルを猟犬として使う猟師さんが近くに居ないため、直接見たことは有りませんが、ブリタニースパニエルを飼う友人は、物覚えが良く、好奇心旺盛でスタミナも十分と言われていました。
1番の特徴は小柄なため、鷹狩りの方がよく飼われている犬種と思います。鷹狩りでは、片手に鷹を据えて(乗せて)移動するため、緊急時でも片側しか使えません。そのため小柄なブリタニースパニエルであれば抱きかかえたりできるということですね。
鳥猟犬としてイングリッシュセッターを選ぶ理由
ポインティングドッグを3犬種に絞って紹介しましたが、他の犬種も含めてそれぞれ特徴のある面白い犬種たちが揃っています。ただ珍しい犬種であるためペットショップで見る機会も、ブリーダーを探すのも簡単ではありません。私自身も鳥猟犬に興味を持っていましたが、見たことがありませんでした。それで情報収集から始めました。
まず全日本狩猟倶楽部の方と出会い、近くの猟師さんのところの猟犬達を見せていただきました。そこで、イングリッシュポインターとイングリッシュセッターの両方を見る事ができ、イングリッシュセッターに心惹かれました。そしてアクティブだけど性格も温厚、そして寒さにも強い。何より近くに有名なブリーダーさんも居られたのでイングリッシュセッターに決めました。信頼できるブリーダーさんが身近に居ると勉強になりますからね。
皆さんには、猟の相棒としても、家族として迎えるにしても、ぜひ直接見て探して頂きたいと思います。奥日田犬舎はいつでも見学可能ですし、出来る限り皆さんに合った鳥猟犬を探すお手伝いをいたします。
投稿者プロフィール

湯谷 大輔
奥日田犬舎 代表・ブリーダー
奥日田犬舎を運営し、イングリッシュセッターを主軸に、甲斐犬や薩摩ビーグルなど、猟犬として優れた能力を持つ犬種の繁殖・販売を行っている。
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